本記事はこれから自宅サウナを建築する施主や、小規模な商業サウナ施設を建設する施工・設計者に向けて作成しました。
これから新築やリフォームで自宅にサウナを入れたいけど、どこに頼めば分からないというような施主様におかれましては、本記事の内容をそのまま設計者や工務店に共有いただければサウナや水風呂の設計から施工まで完結できるような内容になっています。
記事の内容はサウナ室の基本的な設計概念〜図面、水風呂の設備の設計や機器選定まで多岐にわたります。
一部、業務用の大きなサウナ室の構造について記載された内容もございますため、小規模なサウナや家庭用のサウナの場合は設計者の判断で省略していただくようお願いいたします。

こちらの記事で私の自宅サウナを紹介しています。

自宅サウナを実現するための5つの方法
この記事では、主に①住宅と一体になった作り付けサウナの設計方法について説明しています。
①住宅と一体になった作り付けサウナ

浴室の隣に併設している
住宅と一体になった作り付けサウナを建築する場合、まず問題となるのがほとんどの設計士や工務店がサウナ室の建築や施工方法を知らないということです。
本記事ではそういった問題を解決するためにサウナ室の基本的な設計概念から、詳細な設計図面を交えてご説明しています。
②既製品の箱型サウナ室を住宅に組み込む

メトス社のクリマサウナを住宅に組み込んだ例

ご参考までにメトス社のクリマサウナの詳細は下記をご覧ください。
クリマサウナの1人用でも¥1,485,000です。
住宅建築の際に作り付けサウナを作れば、もっと安くできるので既製品サウナはかなり割高な価格だと思います。
③屋内用のテントサウナ





自宅の部屋の中や、ベランダに簡易的なテントサウナを構築して自宅サウナを実現するという方法があります。
簡易的なテントサウナでも良いというのであれば、予算も10万未満で実現可能な商品もあるので意外と選択肢としてはありかもしれません。
④庭など住宅の外にサウナ小屋をつくる
庭が広い場合はサウナ小屋を建築するのも良い方法です。
庭にサウナ小屋を作る場合は隣家からの視線を遮るための工夫(高い塀を作るなど)が必要になります。




本記事のサウナ室の設計の項目の内容はサウナ小屋の建築にも役に立ちますが、下記のムック本『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』の中で紹介されている図面付きのサウナ小屋の設計方法があれば完結できると思うので、こちらを購入していただいた方が早いかと思います。

下記の書籍で材料費約37万円でサウナ小屋を作る方法が設計図付きで記載されているのでおすすめです。

⑤庭など住宅の外にバレルサウナを購入して設置する
Alibaba等で安価にバレルサウナを購入することができます。
しかしバレルサウナは断熱構造が皆無ですし、屋根や外壁の漏水対策も不安があるので個人的にはお勧めしていません。
そのため、本記事ではバレルサウナについては特に扱っておりません。





Alibabaで既製品のバレルサウナやサウナ小屋を購入する場合の参考価格
オーソドックスなバレルサウナ
Alibaba価格:¥266,239






オーソドックスなバレルサウナ2
Alibaba価格:¥273,846






球面パノラマ窓付きバレルサウナ
Alibaba価格:¥243,419




キューブ型サウナ小屋
Alibaba価格:¥289,059





小型バレルサウナ
Alibaba価格:¥164,308





6人用大型サウナキャビン
Alibaba価格:¥684,614





著者の自宅サウナ環境にかかった費用
下記費用は、2020年に自宅建設の際の時点での工務店の内訳明細書から抜粋した費用です。
ウッドショック前の金額なので、現在は木材の高騰や物価高騰により下記費用よりは金額は上がると思いますが、あくまで著者の実際かかった費用をまとめているだけなので参考程度に留めてください。
- 桧縁甲板:240,000
- サウナ室のヒノキ板張工事:68,000
- 野材 桧化粧:40,000
- ガラリ(給排気口):28,500
- ケイカル板(不燃材):38,000
- サウナ室の制作費:200,000
- サウナヒーター(泉興産MISA Kolibri4.5kW):500,000
- サウナヒーター電源配線工事:40,000
小計:1,154,500円
- 水風呂浴槽(大和重工五右衛門風呂):158,400
- チラー(オリオン RKS400F-S):225,900
小計:384,300円
合計:1,538,800円
これに加えて、チラーと水風呂の設備工事費用や外気欲スペースのウッドデッキ費用がかかっていますが、サウナ環境だけにかかった費用の算出が困難であるため省略しています。
また、住宅新築時に合わせて同じ工務店にサウナ室からチラー等設備の施工まで請け負ってもらっているので上記の価格で実現できました。
サウナ環境のためだけにリフォームで作る場合は、解体費用等も加算されるのでさらに費用はかかると思われます。
それでも既製品の箱型サウナのメトス社製のクリマサウナの1人用でも¥1,485,000なので、著者の自宅サウナはかなり割安な費用で実現できました。

サウナ室の形状・構造

さて、ここからが本題のサウナ室の設計のご説明です!
サウナ室の形状

サウナ室の平面の形は矩形(それぞれの角が直角である四辺形。)などの単純な形とし、サウナ室全体を耐火構造体で包み(上下階スラブ共)サウナ室自体を防火区画とします。
平面的に凹凸のありすぎる不整形なサウナ室や極端に細長い形状のサウナ室は熱効率や施工する上で好ましくありません。
断熱層(100~150mm)の厚みやストーブの大きさとクリアランス、ベンチ形状などを無視して最初に間仕切壁だけを決めてしまうと後になってストーブが入らなかったり、ベンチが思うようにつくれなかったりすることになります。
業務用サウナの場合、壁芯々間の距離は少なくとも短辺1,700mm以上ないと、面積の有効利用は難しいでしょう。
(下記図)

ベンチ・壁
ベンチは階段状に2段から3段つくり、利用者が好きな温度の場所を選択できるようにしておきます。
通常、高温部分では1回の入浴は10分前後ですが、低温部分(40~60℃)では、20~30分入り続けることもできます。
ベンチの平面形状は、直線プランかU字プラン、L字プランなどの単純なものがよいでしょう。
収容能力が大きいだけでなく入浴者の少ない時には横になって利用することもできるからです。

適当なベンチ幅は450〜700mmです。
サウナ室のプランタイプ
サウナ、洗い場、脱衣室で構成される
サウナを計画するにあたって最も重要なことは、計画者がサウナについてよく理解し入浴体験者であることです。
あるフィンランド人は、一度もサウナに入ったことのない人がサウナを計画、設計することは不可能なことであると言っています。
これからサウナを持とうという人や初めて設計する人は、ぜひ一度サウナ入浴を体験してください。
それも本物の良いサウナを体験しなければなりません。
そして、サウナがただ単に汗を流す場ではないということを理解してください。
- サウナ室
- 洗い場(浴室)
- 脱衣室
基本的にはこの三つの部屋があればよいのですが、できれは涼むためのテラスやベランダ、便所が近くにあるとよいでしょう。
昔のサウナでは、サウナ内部で体も洗うことが多かったのですが、現代では洗い場はできるだけ別に設けるようにします。
サウナ室の大きさ
サウナの大きさは同時に何人の人が入浴するかで決まります。
サウナ室の大きさは最小でも3.2㎡位の床面積が必要です。
3.2mというと1.8mx1.8mの部屋の大きさで、2畳(1坪)の広さですが、このサウナの床面積については近年フィンランド国内でも談論が起こっています。
というのは、最近、単身者用のワンルーム住居にもサウナが付属するようになり、その規模は2m位(1畳強)の小さなものなのです。
しかし、大多数のフィンランド人は家族用のサウナはもとより、小さなサウナでも3m以上は必要で、これより小さなものは本来のサウナとは言い難く、往々にしてただの発汗キュービクル(箱)になってしまうと考えているようです。
サウナにはある程度の大きさが必要です。
これは、サウナがただ単に発汗をすればよいという場ではなく、リラックスした気分を楽しむ場であり、そのためにはこの大きさがとても重要な要素となります。

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