憧れの自宅サウナを作ると決心したんやけど
水風呂ってどうすればいいの?
私も個室サウナ施設の新規ビジネスを計画しているんだが
大規模なチラーは数百万円もするから
もっと初期費用を抑えたくて困っているんだよ。
家庭や小規模サウナ施設でガンガン使えるチラーを私が紹介しましょう!
自宅サウナやプライベートサウナ、個室サウナなどの小規模サウナ施設にどのようなチラー(水風呂冷却機)を導入すすれば良いのかが理解できます。
- 自宅にサウナを導入したいけど水風呂はどうするの?
- 事業として個室サウナやサウナビジネスを始めたいけど水風呂はどうすればいい?
- 費用はどれくらいかかるの?
- 家庭で使用できるチラーは何を選べばいいの?
という疑問について熱交換器機に精通している著者が解説しています。
家庭用サウナの一番の難関は水風呂(チラー)問題
サウナ室自体は市販のユニットサウナ室を購入するか、もしくは工務店に断熱されたサウナ室を作ってもらい電気工事でサウナストーブを設置すればいいだけなので意外とハードルは低いと言えます。
しかし著者は声を大にして言いたいのです。
水風呂ないの!?それでどうやって整うの?
プライベートサウナ施設でも冷水シャワーだけのとこあるでしょ?
あれじゃ正直満足できないんですよ!
問題は小規模なチラーという製品が市場に認知されていないこと。
時間をかけてリサーチしたら小規模なチラーは存在していました。
しかし実際どれを選んでいいか一般の方には分かりづらいと思います。
そこで大型船舶の機関士だった筆者が冷凍機械や熱交換器機のプロとして自宅サウナで使えるチラーについてどこよりわかりやすく解説します。
機械の性能的とか難しいことはわかんないので、そこんとこよろしく!
夏場の水道水は30℃を越えて、ととのえない!
著者の住んでいる大阪府では真夏の8月の水温は最高33℃まで上がります。
33℃の水温はほぼお湯です。
もはやぬるめのお風呂のお湯です。
サウナ後に冷たいと感じる水温は高くても21℃ぐらいまでが許容範囲かと著者は考えていまます。
筆者的には水風呂としての適温は15℃〜18℃ぐらいがベストと考えています。
国家資格:海技士(機関)所有の著者が解説
著者は国家資格:海技士(機関)の資格を所有しており、実際に大型船舶でボイラーや大型のエアコン、冷凍庫などの熱交換器を整備、運用しています。
そんな著者が熱交換器の専門家としての見識で選んだ家庭や小規模サウナ施設で使えるチラーを紹介します。
性能比較
- 冷却能力〔kW〕
冷却能力の数値でいかに早く水を冷やせるかがわかります。
この数値が低いと冷やすのに長時間必要になり、なた無駄に電気代がかかってしまします。 - 使用電圧〔V〕
電圧が200Vの方が能力が高いが、設置場所に200Vがなければ別途電気工事が必要。
冷やす水量によるが著者の100ℓ浴槽では100V製品(RKS400F-S)を使用している。 - 消費電力〔kW〕
数値が高いほど電気代がかかる。 - 屋外使用可否
雨ざらしの環境で使用できるかどうかは設置場所の制約上重要な項目です。
チラーはエアコンの室外機と同じような仕組みなので風通しが良く直射日光の当たらない場所が理想的。
オリオン RKS400F-S | ゼンスイ ZRW400 | ゼンスイ ZRW750 | ZRC-400B | |
---|---|---|---|---|
冷却能力(50/60Hz)〔kW〕 | 0.89/1.02 | 1.40/1.51 | 2.33/2.44 | 1.40/1.51 |
使用周囲温度範囲 | 5〜40℃ | 5〜35℃ | 5〜35℃ | 5〜35℃ |
水温設定可能範囲 | 5〜25℃ | 0〜45℃ | 0〜45℃ | 0〜45℃ |
推奨冷却水量の目安 (チラー周囲温度30℃のとき) | 記載なし | 150〜275ℓ | 525〜800ℓ | 150〜300ℓ |
温度設定単位 | 0.1℃ | 0.1℃ | 0.1℃ | 0.1℃ |
使用電圧 | 単相100V | 単相100V | 単相200V | 単相100V |
消費電力(50/60Hz)〔kW〕 | 0.42/0.49 | 0.48/0.54 | 0.81/0.87 | 0.55/0.63 |
1ヶ月の電気代目安 (50/60Hz) ※8h/1日×30日) 1kW/25円計算 | (毎日5時間)では 約2,000円 | 著者の使用頻度2,880/3,240円 | 4,860/5,220円 | 3,300/3810円 |
コンプレッサー出力〔kW〕 | 0.3 | 0.4 | 0.75 | 0.4 |
電流(50/60Hz) | 4.8/5.1〔A〕 | |||
冷媒ガス種類 | R407C | R410A | R410A | R410A |
循環ポンプ流量(50/60Hz) | 循環ポンプ内蔵 15〜24/15〜27〔ℓ/min〕 | 推奨流量30~60〔ℓ/min〕 | 別途循環ポンプ必要推奨流量30~80〔ℓ/min〕 | 別途循環ポンプ必要推奨流量30~60〔ℓ/min〕 | 別途循環ポンプ必要
サイズ (幅×奥行×高さ) 〔mm〕 | 454×295×375 | 750×265×505 | 750×265×505 | 385×465×397 |
重量〔kg〕 | 30 | 32 | 42 | 23.5 |
屋外使用可否 | ||||
ヒーター接続対応 (冬場冷たすぎる場合に温める) | 不可 | 別売りヒーター | 別売りヒーター | 別売りヒーター |
楽天市場販売価格(実質相場) ※変動する可能性あり | 約220,000円 | 約200,000円 | 約260,000円 | 約210,000円 |
オリオン RKS400F-S
著者が自宅サウナの水風呂に実際に使用している機種です。
電源ボタンにSwitchBotの指ロボットを設置してリモート操作に対応している
著者は国家資格:海技士(機関)の資格を所有していてカタログスペック表をおおよそ理解できます。
しかしチラーに関しては初めて導入したので正直思い通りに水風呂を冷却できるか心配でした。
1年間自宅サウナのメインチラーとして使用したこのRKS400F-Sは家庭で使用するにはおおむね問題ありませんでした。
ただ、欲を言えばもっと早く水風呂の適温(約16℃)まで冷えて欲しかった。
実際の使用感だと著者の水風呂浴槽(180ℓ)を夏場の水道水(33℃)から適温(16℃)まで冷やそうとすると約5時間ぐらいかかりました。
ゼンスイ ZRWシリーズ
ゼンスイチラーの対応冷却水量
下記の表はゼンスイさんのカタログから抜粋しました。
水風呂の適温に近い15℃の設定水温をチラー周囲温度30℃の環境で運転したときの冷却水量の目安を記した表です。
薄い水色が冷却可能水量の範囲で、濃い水色が推奨の冷却水量の範囲です。
この表で水風呂の浴槽の容積によってどの機種を選べば良いかの目安となります。
ゼンスイチラーは水風呂使用を想定している
なんと、メーカー側が水風呂としての使用を想定している機種です。
こちらの製品はエアコンの室外機と同じような大きさと見た目ですし、なんと言っても屋外で雨ざらしでもOKなところがポイント!
また前者のオリオン RKS400F-Sと比較して冷凍能力がハイパワーです。
著者が今選ぶなら間違いなくゼンスイZRWシリーズ
理由は圧倒的な冷却能力。
例えば100V仕様のゼンスイ ZRW400は著者の現在使用しているチラー(オリオンRKS400F-S)と比べて冷却能力が約1.5倍なのです。
目標の設定温度に達する時間も短縮できそうです。
また雨晒しの屋外でも使用できるので、水風呂から壁を隔てた屋外に設置したいところです。
なぜかというとチラーの中のコンプレッサー(冷媒ガスを圧縮する装置)が結構うるさいので、チラーの騒音や振動が響かない場所に設置したいのです。
チラー用に使用できる電源が200Vであればさらに強力なゼンスイ ZRW750を選びたいところです。
チラーの適切な設置場所
チラーは直射日光がガンガン当たるような場所や風通しの悪いところに設置すると極端に冷却能力が低下します。
また熱がこもりすぎるとチラーの安全装置が働きチラーの運転を停止してしまうこともあります。
チラーはエアコンの室外機と同じような構造で、冷凍サイクルという冷却の仕組みを利用しています。
冷凍サイクルをざっくり説明すると冷媒ガスを
気体→液体→気体→液体
というように状態を変化させ続けるサイクルです。
冷媒ガスが液体→気体に状態変化した時に、気化熱作用で周囲の温度を奪う(つまり冷える)という仕組みです。
身近な気化熱の例でいうとヘアスプレーを噴射し続けるとスプレーボトルがめっちゃ冷たくなりますよね。
あれも気化熱作用です。
冷媒ガスを気体→液体に凝縮させる装置が凝縮器(別名:コンデンサ)です。
凝縮器は空冷のチラーの場合は車のラジエーターのようにたくさんのフィンで表面積を大きくした熱交換器に扇風機のようなファンで風を当て続けて冷媒を冷却凝縮させています。
冷媒ガスが適切に凝縮(気体→液体)できないと、極端に冷やす能力が低下してしまいます。
チラーは多少の騒音が出るし、また排熱により周囲の空気が温まってしまうので水風呂とは少し離れた風通しの良い屋外に設置するのが理想的です。
しかし直射日光でチラー本体が加熱され続けることは冷却能力低下につながるので、直射日光が当たる場合は庇(ひさし)を作って日差しにより温度が上がらないようにすることが望ましいです。
チラーの施工は水道工事業者に依頼しましょう
チラーの施工を依頼する場合、水道工事業者に依頼することとなります。
サウナの施工と同時に水風呂及びチラーを設置するのであれば、サウナを施工してもらった工務店経由で水道業者を手配してもらうのが一番スムーズになるかと思います。
- 施主にて直接、水道工事業者を手配する
- 工務店経由で水道工事業者を手配してもらう
私の場合、新築戸建ての建築の際に水風呂とチラーを設置したのでチラーの機種選定だけ施主で行い、チラーの設置は工務店が手配した水道工事業者に全てお任せしました。
まとめ
憧れの自宅サウナや個室サウナなどの小規模なサウナ施設を設計するにあたり、冷水シャワーで済ませることを検討するケースが多いと思います。
しかし浴槽に張った冷たい水の中で水圧を感じ、また温度の羽衣をまとわせるのも格別な気持ちよさがあると筆者は常々思っています。
わしは水シャワーではととのわんのじゃ。
この記事を参考にぜひチラーを導入していただき、クオリティの高いととのい体験を味わっていただける方が増えると筆者は喜びます。